「先生、猫背だから肩がこるんですよね?」
これは、本当によく聞かれる質問です。
そして、多くの場合、次のような話になります。
「背筋を伸ばしましょう。」
「胸を張りましょう。」
「良い姿勢を意識しましょう。」
もちろん、それで楽になる人もいます。
しかし、それだけでは説明できない場面を、これまで何度も見てきました。
背筋がきれいに伸びている人でも肩はこります。
反対に、猫背に見えても肩がこらない人もいます。
では、何が違うのでしょうか。
猫背は原因なのでしょうか。それとも結果なのでしょうか。
一般的には、このように考えられています。
猫背になる。
↓
肩がこる。
↓
姿勢を治す。
↓
肩こりが改善する。
しかし、身体はそれほど単純ではありません。
身体は常に、たくさんの情報を受け取っています。
・視覚情報
・前庭感覚
・内臓感覚
・呼吸
・睡眠
・疲労
・ストレス
・足裏からの情報
・座面の硬さ
・座面の傾き
そして脳は、それらの情報をもとに、「今、一番安定する姿勢」を選んでいます。
つまり、猫背は原因ではなく、「結果」かもしれないのです。
人間は、できるだけエネルギーを使いたくありません。
人間の身体は、できるだけ少ないエネルギーで生きようとします。
できるだけ疲れないようにします。
できるだけ効率よく動こうとします。
これは、生き物として当然の仕組みです。
では、頑張って良い姿勢を維持する状態はどうでしょうか。
胸を張る。
肩を引く。
お腹に力を入れる。
それを一日中続ける。
本当に、それは身体にとって自然な状態なのでしょうか。
SNSの姿勢は「静止画」です。
最近は、SNSでも姿勢の情報をよく見かけます。
耳、肩、骨盤、膝、くるぶしを一直線に並べた画像。
もちろん、それ自体が間違っているわけではありません。
しかし、人間は静止画ではありません。
歩きます。
座ります。
振り返ります。
荷物を持ちます。
つまり、人間は、常に動き続けています。
それなのに、姿勢だけが一枚の写真で評価されているのです。
本当に大切なのは「自由度」です。
大切なのは、猫背かどうかではありません。
大切なのは、その姿勢しか選べないことです。
猫背にもなれる。
背筋も伸ばせる。
左右にも動ける。
骨盤も自由に動かせる。
この状態なら、たとえ猫背に見えても大きな問題はないかもしれません。
反対に、見た目はきれいでも、その姿勢から動けない状態はどうでしょうか。
こちらのほうが、むしろ問題になる場合もあります。
良い姿勢は、つくるものではありません。
無理に良い姿勢を維持する。
これは、とても大変なことです。
だからこそ、「姿勢」そのものだけを見るのではなく、「姿勢をつくっている条件」を見る必要があります。
視覚情報。
前庭感覚。
呼吸。
内臓感覚。
睡眠。
疲労。
足裏からの情報。
こうした条件が変われば、身体は自然に別の姿勢を選び始めます。
つまり、
良い姿勢をつくるのではありません。
良い姿勢が勝手に現れる状態をつくるのです。
まとめ
良い姿勢とは、最も美しい姿勢ではありません。
最も少ない力で、最も自由に動ける姿勢です。