「肩がこっているので、肩を揉んでください。」
施術の現場では、とてもよく聞く言葉です。
もちろん、肩を揉んで楽になることはあります。
しかし、それだけで肩こりのすべてを説明することは難しいかもしれません。
なぜなら、同じ刺激を受けても、楽になる人もいれば、変化がない人もいるからです。中には、かえって症状が悪化する人もいます。
もし肩こりが単純に筋肉だけの問題なのであれば、この違いを説明することはできません。
そこで近年、注目されているのが「脳」という視点です。
肩こりは肩だけの問題とは限りません
肩こりというと、多くの人は筋肉の硬さを思い浮かべます。
しかし、実際にはそれだけではありません。
例えば、
- 肩が硬いのに症状がない人
- 肩が硬くないのに症状がある人
- 肩を揉んで楽になる人
- 肩を揉むと悪化する人
こうした違いは、日常的に見られます。
つまり、「肩が硬い」という事実と、「肩こりを感じる」という事実は、必ずしも一致しないのです。
脳は常に身体からの情報を受け取っています
私たちの身体には、さまざまな感覚を受け取る仕組みがあります。
- 圧力
- 温度
- 振動
- 伸び縮み
- 痛み
- 位置
こうした情報は神経を通って脳へ送られます。
そして脳は、その情報をもとに「安全なのか」「危険なのか」を常に判断しています。
この働きには、島皮質や扁桃体、前帯状皮質、前頭前野など、さまざまな部位が関わっていると考えられています。
つまり、肩こりは肩だけで起きているのではなく、脳を含めた身体全体の反応として現れている可能性があるのです。
「揉む」という行為そのものが特別なわけではありません
ここで興味深いのは、「揉む」という行為そのものが特別なわけではないという点です。
身体に入る刺激には、さまざまな種類があります。
- 手で触れる
- 揉む
- さする
- 温める
- 振動を与える
- 鍼をする
- ストレッチをする
- 運動をする
刺激の種類は違っても、脳が「安全だ」と判断すれば、身体はポジティブな反応を示すことがあります。
反対に、脳が「危険だ」と判断した場合は、症状が悪化することもあります。
つまり、重要なのは刺激そのものではなく、脳がその刺激をどのように受け取ったかということなのです。
なぜ一時的に楽になっても、また元に戻るのでしょうか
肩を揉んだ直後は楽になったのに、翌日になると元に戻ってしまう。
このような経験をしたことがある方も多いと思います。
これは、一度の刺激だけでは感覚が十分に定着していないからかもしれません。
例えば、自転車に初めて乗った日を思い出してみてください。
一度練習しただけで、すぐに乗れるようになった人は少ないはずです。
身体は、繰り返し経験することで少しずつ学習していきます。
肩こりも同じように、脳が新しい感覚を学習し、それを定着させていく過程が必要なのかもしれません。
脳から肩こりを見るという考え方
肩こりは、筋肉だけの問題ではありません。
姿勢や呼吸、睡眠、ストレス、自律神経の働きなど、さまざまな要素が関係しています。
そして、その情報を最終的に受け取っているのは脳です。
もちろん、これは「肩に原因がない」という意味ではありません。
しかし、肩だけを見ていては分からないことがあるのも事実です。
奈良市や学園前、富雄周辺でも、長年肩こりに悩んでいる方は少なくありません。
もし何度も同じ症状を繰り返しているのであれば、「肩」だけではなく、「脳」という視点から身体を見直してみることも大切かもしれません。