スポーツをしている子どもから大人まで、最も多いケガのひとつが足関節捻挫です。
「ただひねっただけだから大丈夫。」
そう思ってしまう方も少なくありません。しかし、足関節捻挫は適切な処置を行わないと、何度も繰り返したり、痛みが長引いたりすることがあります。
まずは、足関節捻挫の基本的な知識についてお話しします。
足関節捻挫とは?
足関節捻挫とは、足首の関節に強い力が加わり、靱帯や関節包などの組織が損傷するケガのことです。
特に多いのが、足首を内側にひねる「内反捻挫」です。
ジャンプの着地や急な方向転換、段差の踏み外しなどによって起こります。
足関節捻挫の約80~90%は、この内反捻挫だといわれています。
どの靱帯が傷つくのでしょうか?
足首にはたくさんの靱帯がありますが、特に重要なのは次の3つです。
- 前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)
- 踵腓靱帯(しょうひじんたい)
- 後距腓靱帯(こうきょひじんたい)
最も損傷しやすいのは前距腓靱帯です。
損傷が強くなるにつれて、踵腓靱帯や後距腓靱帯にも影響が及びます。
足関節捻挫の種類
①内反捻挫
最も多いタイプです。
足首が内側にひねられ、外側の靱帯を傷めます。
- バスケットボール
- バレーボール
- サッカー
- ハンドボール
などでよく見られます。
②外反捻挫
足首が外側へ倒れ込み、内側の三角靱帯を傷めるタイプです。
発生頻度は高くありませんが、重症化しやすい傾向があります。
③脛腓靱帯損傷(ハイアンクルスプリン)
足首の上の部分にある靱帯が傷つく状態です。
一般的な捻挫よりも治癒までに時間がかかることが少なくありません。
重症度による分類
Ⅰ度(軽症)
- 靱帯が少し伸びている状態
- 腫れや痛みが軽い
- 歩行できることが多い
Ⅱ度(中等症)
- 靱帯の一部が断裂している状態
- 腫れや内出血が目立つ
- 歩行時に強い痛みがある
Ⅲ度(重症)
- 靱帯が完全に断裂している状態
- 強い腫れや内出血がみられる
- 不安定感が強い
ただし、「歩けるから軽症」とは限りません。
骨折や軟骨損傷を伴うこともあるため注意が必要です。
受傷から回復までの流れ
捻挫は、単純に「炎症が治れば終わり」というものではありません。
身体の中では、次のような変化が起きています。
炎症期(受傷直後~約1週間)
- 腫れ
- 熱感
- 痛み
- 内出血
などが現れます。
身体は損傷した組織を修復する準備を始めています。
修復期(約1~6週間)
傷ついた組織を修復するために、新しい組織が作られます。
この時期は無理をすると再び傷つきやすいため注意が必要です。
再構築期(約6週間~数か月)
組織が徐々に強くなっていきます。
この時期には、
- バランス能力
- 筋力
- 敏捷性
- ジャンプ能力
などを回復させる必要があります。
治るまでの期間はどれくらい?
もちろん個人差はありますが、おおよその目安は次の通りです。
| 重症度 | 期間の目安 |
|---|---|
| Ⅰ度 | 1~2週間 |
| Ⅱ度 | 3~6週間 |
| Ⅲ度 | 2~3か月以上 |
競技復帰には、さらに時間が必要になる場合もあります。
RICEからPEACE&LOVEへ
以前は、捻挫をしたら「RICE処置」が一般的でした。
- Rest(安静)
- Ice(冷却)
- Compression(圧迫)
- Elevation(挙上)
現在は、PEACE&LOVEという考え方が広く知られるようになっています。
PEACE(受傷直後)
P:Protect(保護)
患部を守り、過度な負荷を避けます。
E:Elevate(挙上)
患部を心臓より高い位置に保ちます。
A:Avoid anti-inflammatory modalities(抗炎症処置を避ける)
過度な炎症抑制は組織修復を妨げる可能性があります。
C:Compress(圧迫)
腫れを抑える目的で行います。
E:Educate(教育)
正しい知識を身につけることも重要です。
LOVE(その後の回復期)
L:Load(適切な負荷)
回復に合わせて少しずつ動かします。
O:Optimism(前向きな気持ち)
心理的な要素も回復に影響します。
V:Vascularisation(有酸素運動)
血流を促進し、回復をサポートします。
E:Exercise(運動療法)
筋力やバランス能力を回復させます。
冷やした方がいいのでしょうか?
「とりあえず冷やしておこう。」
これは間違いではありません。
ただし、「長時間冷やせば早く治る」というわけでもありません。
冷却は痛みを和らげる効果が期待できますが、近年は過度な冷却について慎重な意見も増えています。
大切なのは、炎症を敵と考えるのではなく、身体が回復しようとする反応として理解することです。
捻挫はクセになるのでしょうか?
「一度捻挫するとクセになる。」
これは半分正しく、半分間違っています。
正確には、
捻挫そのものがクセになるのではなく、身体の機能が十分に回復していない状態で復帰することで再発しやすくなる
ということです。
特に、
- バランス能力
- 足首の動き
- 筋力
- 感覚入力
- ジャンプの着地動作
などが回復していない場合は、再発のリスクが高くなります。
最後に
足関節捻挫は、スポーツ現場で最も多いケガのひとつです。
しかし、「ただの捻挫」と軽く考えてしまうと、数か月、あるいは数年にわたって痛みや不安定感が続くこともあります。
大切なのは、
- 正確に状態を把握すること
- 適切な時期に動き始めること
- 段階的に運動量を増やすこと
- 再発予防まで行うこと
です。
次回は、「歩けるから大丈夫とは言えない理由」についてお話しします。
奈良市、学園前、富雄周辺で足首の痛みやスポーツ中のケガでお悩みの方は、大和町だるま整骨院までご相談ください。